コロナ罹患者が急減したのはなぜか、自分のアタマで考えてみたPhoto:recep-bg/gettyimages

8月には新型コロナウイルスの1日あたり新規陽性者数が全国で2万5000人(重症者は約2000人)を超えた。コロナ禍は猖獗(しょうけつ)を極め、政府の無策を呪う声はちまたに満ち、政権の継続を許さぬ勢いだった。が、その後は急減し、10月12日時点で1日あたり同1000人を下回っている。政府や感染症対策分科会の発表文を見ても急減の理由ははっきりしない。理由がまったくわからないので、われら市民は戸惑うばかりなのだが、ここはひとつ、自分のアタマで考えてみることにしよう。(コラムニスト 坪井賢一)

尾身会長もNHKも漠然とした感想
専門家にもわからない

「自宅療養」「自助・共助・公助の順番」と主張する宰相によって人民は放置され、「ここはどこの国だ」と思わされた悲劇はつい数週間前だ。

 新型コロナウイルスの1日あたり新規陽性者数がどうしてこんなに急激に減少したのか、感染症対策分科会の尾身茂会長は9月28日の記者会見でこう答えている(「東京新聞」電子版10月4日による)。

●深刻な医療逼迫(ひっぱく)により、人々が危機感を高めて感染対策に協力
●夜の街に繰り出す若い世代が減少し、全体として人流が2~3割減少
●ワクチン接種率が急速に上昇
●医療機関や高齢者施設のクラスターが全体の10%と減少
●気温が下がって換気しやすくなった気候の変化

 といった減少の理由を挙げている。

 また、NHKは10月5日のニュース番組で急減の理由をこうまとめていた。

●夜間滞留人口の減少
●ワクチン接種率上昇
●若い世代で感染が増えたが、高齢者へ広がらず
●感染者が増え、全体として抗体を持つ人が増加

 どちらの項目も似ているが、明確な理由には思えない。漠然とした感想で、中高生でも思い付きそうな理由にすぎない。要するに、専門家にもわからないのである。