10代の新型コロナワクチン接種、気になる副反応は?写真はイメージです Photo:PIXTA

 6月1日、ファイザー/ビオンテック社の新型コロナウイルスワクチンの接種対象年齢が12歳以上に引き下げられた。

 同16日に日本小児科学会が発表した声明では、子どもを感染から守るには、まず教師や保育士、小児科医など子どもたちと関わる大人のワクチン接種が重要だとしたうえで、「12歳以上の健康な子どもたちへのワクチン接種は意義がある」としている。

 ワクチン接種のメリットはわかるが、10代の子どもを持つ親としてはリスクを知りたいところだ。

 12~15歳の子どもたち、2260人を対象とした臨床試験で認められた副反応は、注射した部位の痛み、疲労感、頭痛など。一過性の軽~中等度の症状が多く、重い副反応は成人よりも少なかった。

 2回目の接種後に、ウイルスの毒性を中和する抗体価を調べた結果は良好で、最終的な発症予防率(有効性)は100%だった。

 具体的には、接種2日後の時点で、プラセボ(偽薬)接種群1129人中の16人が発症したのに対し、ワクチン接種群1131人の発症者は「ゼロ」だったのである。

 これを受け、米国は5月半ばにファイザー/ビオンテック社のワクチン接種対象年齢を12歳以上に拡大。日本も追随した形だ。

 さて、若い世代のワクチン接種で気になる副反応の一つに「心筋炎・心膜炎」がある。文字通り心臓の筋肉や心臓を包んでいる膜に炎症が生じ、心機能の低下や不整脈などが起こる。

 米疾病予防管理センターによると、(1)接種後4日以内に生じる、(2)20歳未満の男性に多い、(3)2回目の接種後に生じやすいなどの特徴が明らかになっている。ただし、軽症例が多く、速やかに回復しているため、12歳以上への接種推奨は変わっていない。

 日本では、5月30日までに8件(1305万9159回分の8件)の心筋炎・心膜炎が報告された。うち男性が7人、40歳未満に限ると男性5人、女性1人だった。

 さて、コロナ禍2年目ともなれば12歳でも「当事者」だ。自分の健康や生活を守る意識もあるだろう。子どもと一緒に接種の目的と意味を考えていこう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)