Kさんは仕事を
どのように見直せば良いのか

 Kさんの場合、年間の支出額と同じ手取収入を得ていれば、余裕のある老後を過ごすことができることがわかりました。そのため、仕事量はもう少し減らしてもよいと思います。

 たとえば、年間の養育費120万円分の仕事を60歳まで減らしたとしましょう。試算では養育費の受取期間を10年としたことから、60歳時点の金融資産額は2800万円から1200万円を差し引いた1600万円になります。10年後、Kさんは53歳ですから、収入の120万円減額は60歳まであと7年続きます。

 すると、60歳までの7年間は毎年金融資産を120万円ずつ取り崩すことになります。1600万円から120万円×7年=840万円を差し引くと、60歳時点での金融資産額は760万円です。

 先ほどの試算で出てきた2800万円という60歳時点の金融資産額と比較すると、760万円は少なく感じるかもしれません。ですが、順次学生を終える2人の子どもの教育費が無くなる50歳代後半の家計収支は黒字になるでしょうから、760万円でも過度に心配する必要はないでしょう。

 60歳以降、収支がトントンでいけば65歳時点の金融資産額は変わらず760万円。そこに小規模企業共済3000万円と個人年金保険が加わるので、やはり老後資金に不安はないと考えられます。

 毎月の収支がトントンになる程度の収入を得て、その後は養育費分を減額して試算したのは、相談文に今後のライフスタイルについての言及がないからです。この試算を参考に、Kさんと2人の子どものライフスタイルを考えながら実際の収入はいくらぐらいが良いのか自身で試算してみてください。ただ一つ言えることは、今後はこれまでのように過度に頑張らなくても大丈夫だろうということです。

(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)