「いいDX」と「悪いDX」の決定的な違いは

「そもそもDXはデジタル化ではありません。DXとは企業文化の変革です」

 いいDXと悪いDXの一番の違いとは何か。黒川氏は「なんちゃってDX」の具体例として、「コスト削減」「レガシーからの脱却」「CIOへの丸投げ」を挙げる。そして極め付きは「IT導入? うちにはまだ早すぎる!」という逃げの姿勢だという。

 それでは、正しいDXとは何か。

 黒川氏は「企業戦略を再定義すること」を最優先に掲げるべきだという。経営者であるあなたが「自社の提供価値、業務内容は正しいのか?」「従業員は幸せだろうか?」と自身に問いかけることで顧客のニーズを再定義するのだ。

DXを成功に導くための構成要素は?

 では、DXを成功させるための構成要素とは何か。黒川氏は以下の四つが機能したときに成功すると説明する。

1. デジタル戦略
 成功例を見ると、DXが中期計画に入っている。新規投資の半分以上がデジタルに配分されている。

2. 効果実現
 収入増加・コスト削減・顧客満足・経営精度を見ることが重要だ。これらが向上すれば、既存ビジネスと新規ビジネスが回り始める。

3. 組織能力
 成功例では、80%以上の人材にデジタル教育を実施している。品質の高いデータがあり、顧客の理解ができるようになっている。このような組織では、働き方がアジャイルになり、新しいことをテストして失敗から学ぶ文化が定着している。

4. 推進体制
 成功例を見ると、トップ経営層が、ロールモデルとして20%以上の時間を企業変革のためにコミュニケーションにあてている。