日東駒専&産近甲龍#18Photo:PIXTA

大学の実力を測る“入り口”が偏差値とすれば、その“出口”に相当するのが就職だ。特集『MARCH・関関同立に下克上なるか!?日東駒専&産近甲龍』(全19回)の#18では、産近甲龍と関西大学の過去10年間の実就職率のみならず、大学通信が選定する「主要400社」への就職者率を掲載。さらに5大学の400社への個別の就職者数も公開する。入りやすくて、就職が良い大学を見つけよう。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

日東駒専vs法政大と異なる
産近甲龍の就職事情

「産近甲龍」の就職力は、過去の10年間(2012~21年度)でどう変遷したのだろうか。それを知るべく、大学通信のデータを基に、4大学の「実就職率」と日本企業を代表する「主要400社」への実就職率を比較しよう。

 まず、実就職率における優勝劣敗から見る。なお、実就職率は、就職者数÷(卒業生〈修了者〉数-大学院進学者数)×100で算出。大学院への進学者数が未集計の場合、実際の数値が掲載値よりも高い場合がある。

 本特集#17『日東駒専・法政大「主要400社就職率」ランキング!日大からメガ銀へ12人、他大は?』で見た、「日東駒専」と異なる点は、産近甲龍の一角、甲南大学の強さが際立つことだ。12~20年度の9年間、「関関同立」の関西大学を含めても実就職率でトップに立ち続けた。

 一方、産近甲龍の成長株はやはり近畿大学。14年度に龍谷大学とともに2位タイに浮上して以降、2位の座を維持し続けている。ちなみに最新21年度、その両校を抑えて1位に立ったのは龍谷大だ。

 また「主要400社就職率」でも甲南大の強さが光る。東の日東駒専と法政大学を比べた場合、ダブルスコアで法政大が上回るのが当たり前で、日東駒専は10%未満が常であったが、西は構図が大きく異なる。

 どこがどう違うのか?関西大が20%前後で推移している点は法政大とあまり変わらない。異なるのは、日東駒専で10%超えがほぼ皆無なのに対して、京都産業大学が15~18年度、さらに甲南大が13~18年度、それぞれ10%を超えている点だ。とりわけ甲南大は16年度に16.5%を出すなど関西大と遜色ない年度さえ存在する。

 甲南大の強みは何といっても関西財界の令息・令嬢が集い、OB・OGのネットワークが他大よりも強固であることだ。そのことが実就職率と主要400社就職率共に反映されているといえよう。個別の就職先においても伝統的に金融に強いとされ、総合商社など超人気企業に採用者を出すこともある。

 次ページから、産近甲龍に関西大を加えた5大学における、過去10年間の実就職率と主要400社就職率の推移グラフ、さらに主要400社各社における採用者数リストを掲載しよう。

 なお主要400社の採用者数リストは、最新21年度はコロナ禍に揺れ、産近甲龍に限らず関関同立を含めた多くの大学で著しく低い就職率となっているため、本来の就職力をより表しているだろう20年度の採用数を掲載している。

 産近甲龍の中から日本銀行や総合商社、大手マスコミに採用者を出した大学もある。各大学がどの企業に強みを持つのか、の参考にしてほしい。

 いわば西の中堅大学の“出口”の完全網羅データを公開する。