「早慶近」――。2017年新春の新聞広告でマグロの写真と共に近畿大学が打ち出したそのキャッチコピーを覚えている人も多いだろう。「関関同立」に「産近甲龍」「摂神追桃」……。特集『MARCH・関関同立に下克上なるか!?日東駒専&産近甲龍』(全19回)の#16では、そんな既存の大学ヒエラルキーの打破に挑む近大を率いる細井美彦学長に今後の戦略を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
今年度、総合商社就職を目指す
キャリアゼミ開設の真意とは?
――「産近甲龍」や「関関同立」など大学グループに応じた序列が固定化する中、「早慶近」というキャッチコピーが話題になりました。
世の中には大学へのさまざまなランキングがありますが、それらはその大学の外部評価であり、ブランド力につながると思っています。
総合私立大学の雄である早稲田大学と慶應義塾大学をリスペクトしていますが、英タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)の「THE世界大学ランキング」を見て、その早慶と同じランクに近畿大学だけが入っていることに逆に気付かされたわけです。
もちろん、このブランド力を今後も維持していきたい。大事なのは「日本ではなく世界で」という点です。世界と日本の基準は別ものだとよくいわれますが、THEの日本国内ランキングも世界のそれと差がある。つまり、評価の視点が国内外で違うわけですが、われわれは世界基準の視点から大学を成長させたいと考えています。だからといって日本から離れるのではなく、日本の中で世界基準の大学はこういうものだ、というイメージをつくっていきます。
――国内における大学への外部評価として就職も一つの視点になると思いますが、主要企業就職率などで関関同立と大差があります。今年度から「総合商社キャリアゼミ」を開設しましたが、そのてこ入れと見てよいのでしょうか?
2016年の「金融」と「マスコミ」に続くキャリアゼミの開設ですが、同年の国際学部の新設によって学内全体でグローバル志向が高まる中、世界を相手に活躍できる総合商社への就職を目指す学生をサポートする目的で開設しました。
また、学生たちに「今まで五大総合商社を狙っていなかったけど、本当は行けるんだよ。採用試験を受けていいんだよ」と、学生の“背中を押す”ためのメッセージでもあります。