部下のやる気を保つ、最適な「評価基準」とは?Photo:PIXTA

姿の見えない部下の
「正しい評価方法」とは?

 リモートワークが普及してきたことにより、部下の働く姿が見えにくくなり、「評価方法」に苦心する経営者が増えています。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 当社(小宮コンサルタンツ)は、コロナ前からリモートワークを推進しており、社員の評価はアウトプット中心です。アウトプットを得るためのプロセスを無視しているわけではありませんが、コンサルタント職はプロフェッショナルな仕事です。

 若い社員には努力賞を認めることはあっても、ある程度のキャリアを積んだ社員には努力賞はありません。「努力するのが当たり前」だからです。また、事務職についても「求められていることを求められているレベルで達成したか」という点を見て評価しています。

 プロセスを見ていないと言いましたが、何も見ていないというわけではありません。リモートワークしている人も含めて、朝礼に参加してもらっているのですが、その際には、各人から、その日にやる予定の仕事を結構細かく報告してもらっています。事務職では、朝礼の直後にチームリーダーが再度チームで簡単なミーティングをし、その日やることの細部を詰めます。コンサルタントの場合には、チームリーダーが、週に一度ずつ、チームミーティングと個別面談をそれぞれ行って、仕事の進捗(しんちょく)をチェックしています。

 また、ほとんどの仕事はチームで取り組むものです。結果だけが評価対象になると、自分だけ結果が出せればいいという働き方をする社員が出てくる恐れがあります。そのため、例えばチームワークに協力しているとか、場の雰囲気作りに努めているという点については、違う項目で評価することが大事です。このような“陰の努力”を見逃さないことも、上司(中間管理職)の務めです。

 では、資格を取るために勉強する、本を買うというような自己啓発の努力は認めるべきでしょうか。当社は補助を出すことで自己啓発の手助けをしていますが、努力賞として評価することはありません。自己啓発のための努力も、当たり前のことだからです。