「常識のコンセント」を抜けば
「無邪気な発想」ができる

 たとえば、女性の子育て支援策が国レベルでも「課題」になっています。背景には、様々な要素がありますが、ここでも「当たり前」「常識」が邪魔をしているケースが少なくないように思います。

「女性が外出先で授乳できる場所が少ない」というのもその一つでしょう。これを、常識的に考えれば授乳スペースの確保はコストもかかるし、場所の問題もあるのでなかなか難しいという結論になりがちです。

 ですが「本当にそうなの?」という健全な疑いを持って「問い」を立てると、「物理的な場所を確保することが前提になっているから課題が解決できないのでは?」という、新たな問いに発展させることもできます。

 実際、授乳服やマタニティウェアを企画販売しているモーハウスという会社では、物理的な授乳スペースがなくても人目を気にせず授乳できる、ストレスフリーな授乳服を開発しています。

 授乳中も肌が見えず、ファッション的にもおしゃれ感を損なわない様々なバリエーションで人気になっているのです。

 このように「なるほど」と思える発想が、なぜ自分ではなかなか出てこないのか。その理由は、多くの人が「当たり前というプラグ」を「常識というコンセント」に差したままだからです。

 常識のコンセントには、このままの状態を維持しようとする“強い電流”が常に流れています。そのプラグを意識して抜くことで「無邪気な発想」ができるようになります。

 逆に言えば、あえて無邪気にならなければ、私たち大人はこれまでの常識に縛られて、新たな発想を生む「問い」すらできなくなってしまうのです。

 もう一つ例をあげましょう。

 キリンビバレッジの「世界のKitchenから」という飲料シリーズをご存じでしょうか?