みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#35では、みずほの歴史に残る大転換期を取り上げる。みずほフィナンシャルグループが、合併以来、どんなに批判されても掲げ続けてきた“看板”を下ろすときが、ついに訪れた。顧客によって対応する銀行を分けた2行体制だ。表向きの行内変革プログラムも虚しく、その決断は外圧に屈した結果にすぎなかった。

「週刊ダイヤモンド」2011年5月28日号の「クローズアップ」を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

みずほ銀行2度目の大規模システム障害で
金融庁が突きつけた2つの変革

「千載一遇のチャンスだ」

 持株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)と、傘下のみずほ銀行(BK)へ検査に入った金融庁は、息巻いていた。

 東日本大震災の直後に、BKが2度目となる大規模システム障害を起こしたことを受けての検査だったが、金融庁にとってそれは単なる足がかりにすぎなかった。システムの話だけで矛を収めるつもりなど、さらさらなかったからだ。

「経営陣の旧3行のバランスは間違いなく崩してもらう」「特別顧問に座るOBの一掃も譲れない」

 金融庁は今回の不祥事の落とし前として、二つの変革をみずほへ突きつけた。意図するところは、合併前の旧行意識を引きずった体制の解体と、旧経営陣との完全なる決別だ。