実生活における“ゲーミフィケーション”の応用
“4分風呂”をいかに輝かせるか

 どこに導入できるか、何を変えたいかと考えた時、なかなか思い浮かばず、とりあえず“風呂”をゲーミフィケーションしてみることにした。過去記事で取り上げたことがあるが、何かを成し遂げようとするとき、筆者はまず風呂から着手する傾向がある。

 筆者は「どうしても10分かかる風呂を、試行錯誤の末5分で済ませられるようになった」ことがあり、すでにひとつの原始的なゲーミフィケーションをしていたと言える。

 また、先に紹介したバートルテストを用いて自己分析すると、筆者のゲーマータイプは「アチーバー(達成したい人)」と「キラー(他者に勝ちたい人)」、この2タイプの色が強く、“5分風呂”もまさしくこの2タイプの傾向が発露した結果生み出されたものである、と答え合わせができた。

“5分風呂”における楽しみは主にタイムアタックであり、ここにさらに別の要素を追加してゲーミフィケーションを施していきたい。“ゲーミフィケーション”を知った今なら、さらに洗練されたゲーム化を“風呂”に施せるはずである。

 まず、目標の明確化である。次に目指すは“4分風呂”としたが、いまいち気が乗らない。“5分風呂”達成に向けて取り組んでいた時の情熱が、湧いてこないのである。そこで「5分が4分になるとどんな素晴らしいことが起こるのか」を今一度考えてみた。ひらめいたのは「風呂の時間が5分から4分になれば、年間で合計約6時間以上得をする」ということであった。少しやる気が出てきていいあんばいである。

 また、より強くやりがいを感じるために達成度を可視化したく、「実際にかかった入浴時間」をカレンダーに記入していくことにする。「時間短縮のためにどこが改善できるか」もあわせて書くと面白いかもしれない……。

 次に報酬として、「4分風呂を達成できた日は100円貯金する」ということにした。1年間毎日成功すれば3万6500円がたまり、これを正月に自分へのお年玉とする構えである。成功する日がなければ、もちろんお年玉は0円である。

 かなりやる気が出てきた。

 最後に“物語”である。4分風呂を達成して何が起こるかを改めて考えてみた。4分風呂が達成できれば「新次元を切り開いた男」を自任していいし、ガス代、水道代も“1分間”分浮くし、家族の笑顔に接する時間が年間6時間増えれば筆者の心はさらに豊かになる……。なかなかいい“物語”であり、4分風呂が大きな意味を持ち始めた手ごたえを感じた。

 あとは、手動のランキング機能を導入したい。これは会う人会う人に、「入浴時間は何分ですか?」と尋ねればいいであろう。筆者の方が短ければ満足できるし、長ければ負けないようにとファイトが湧く。

「目指せ4分風呂」のゲーミフィケーションを導入して3日がたつが、今のところは飽きずに面白く取り組めている。慣れてきたら生活の他の部分にも施して、日々を一層輝かせたいと考えている。
 
 ただ“風呂に入る”というだけでもこれだけの創意工夫ができるというのは、我ながら新鮮な発見であった。何かを改善したいとき、仕組みを改めたいとき、ゲーミフィケーションは効果を上げる。“ゲーミフィケーション”は今後さらに注目されていく手法であろうと、身をもって感じた。