机上の情報端末を減らして
“デジタル疲れ”を緩和する

 たとえば、デスクの上。

 以前、精神的な疲労を抱えて心身の不調が慢性化し、クリニックにいらっしゃった30代のゲームクリエイターの男性から、「デスクの上にはいつもデスクトップ型と、ラップトップ型のPCが2台あって、それからタブレットと、スマホと、ガラケーも置かれた状態で仕事をしている」というお話をうかがいました。

 あまりにも多すぎて、電話が入ったり、メールの着信音が鳴ったりしても、一瞬、どこから音が出ているのかわからないほどだそうです。

 私は驚いて、「仕事中にそれらをすべて使うから置いているのですか?」と尋ねてみたところ、「そうです」とおっしゃいます。

「でも同時に全部を見るようなことはありませんよね?」と続けて問うと、「それは物理的にできません」とのことでした。

 それならば、いかに膨大なデータを扱うゲームクリエイターといえども、そんなにたくさんの情報端末を常にデスク上に置いておく必要はなさそうなものですが、彼の言い分はこうです。

「すべてをデスク上に置いて、いつでも使えるようになっていないと、なんか不安なんです。手元に全部あるからすぐに対応できる、っていう感覚を欲しているのでしょうか……」

「手元に情報端末を全部そろえていないと不安になる」と話す彼の、「精神的な疲労を抱えている」原因がまさにそのたくさんの情報端末が視界にひしめいていることにあるのは、あきらかだと思われました。

 そこで、最も使用頻度が高いというラップトップとデスクトップのPC以外は、デスクの下に設けてある棚に置くよう助言しました。