雲南省瑞麗市がロックダウン

 10月末に、SNSの「微博」(Weibo、以下、ウェイボ)に突然、「雲南省瑞麗市が半年以上ロックダウンされている。もう限界だ、助けて!」という複数の声が流れて、何も知らなかった全国の人たちをびっくりさせた。同市はミャンマーとの国境にあり、国境のすぐそばの街にはミャンマーから持ち込まれた翡翠(ヒスイ)の市場が設けられ、日頃は中国各地からやってきた買い付け業者たちで賑わっている。

 その国境の街と市内を結ぶ橋が今年3月末に突然封鎖され、市内に住む商人たちは自宅に帰れなくなった。ほぼ同時にミャンマー人商人たちも皆、国境から追い出され、残った中国人商人たちは店舗用の建物に寝泊まりして過ごしているという。

 書き込みによると、ロックダウンはこれまで数回にわたって行われ、その間瑞麗市民は仕事にも学校にも行くことを禁じられ、2日に1度のPCR検査に出かける以外は外出できない状態となっている。ネットにその窮状を書き込もうとしても、「なぜか」書き込めず、今回散発的に流れた書き込みは市外に住む同市出身者が家族のために書き込んだものだったようだ。

 書き込みが大きな注目を集めると同時に、同市の元市長で現在は作家生活を送る戴栄里氏が、自身のオンラインコラムで「瑞麗には祖国の思いやりが必要だ」という記事を発表。日頃は翡翠の売買で大変潤っている同市が、ロックダウンによって経済活動が完全にストップしており、人々の生活の維持と精神衛生のためにも生産と貿易の回復は必須だと訴えた。

 これらを受けて同市政府当局は記者会見を開き、政治混乱が続くミャンマーから同市へと国境を出入りする関係者のうち感染者が20%に上っており、7月の検査では700人以上の陽性者が見つかったと背景を説明。また、数十万ものアクセスを集めた元副市長の記事に対し、「記事に描かれた経済事情はずっと昔の話で、今ではずっと発展しており、十分経済的に潤っている」と困窮説を否定した。

 だが、これとほぼ同じ頃に翡翠市場の街では商人たちが政府に補償を求めてデモを行っていたことを、香港メディアが写真付きで伝えている。

 その後、瑞麗からの声はネットに上がらなくなり、その後同市の住民たちがどうなっているのか、外界には再び流れてこなくなってしまった。