北京に近い北方省で感染者が増加中

 一方、ロシアと接する黒竜江省黒河、そしてモンゴルと接する内蒙古自治区エジン旗でも、それぞれ隣国から持ち込まれたとされる感染の拡大防止が叫ばれている。

 特にこの2つの北方省は首都北京にも近く、日頃から経済や人的往来も頻繁である。北京ではこの11月初めに中国共産党中央委員会第6回全体会議(6中全会)という大型の政治会議があり、これからは冬季オリンピックという重要イベントも控えている。このため、その感染者の増加事情は日々注意深く報告されている。

 感染抑制圧力にさらされているだろう黒河市政府では、市民の外出を規制しようと驚くべき方法を採った。移動の際に提示しなければならないスマホの「健康コード」を、市内居住者のみならず、同市に戸籍を持つ出身者のものまですべて、「要隔離」を意味する“黄色”に変えてしまったのだ。

 中国では、日本のように引っ越したからといって戸籍は個人の意思では簡単に移せない。つまり、他市に暮らすようになっても出身者の多くは市内の戸籍を残したままだ。そんな人たちの健康コードまでが黄色表示にされてしまったことにより、大混乱が起きた。

 黒河市では一応、市外に住む人たちのコード解除受付ホットラインを準備したものの、そこにも希望者が殺到してつながらないと、これもまたひと悶着(もんちゃく)を引き起こしている。

 瑞麗といい、黒河といい、地方政府による粗暴で一方的な管理手法、そして起こった大混乱は中国「あるある」だ。中央政府が掲げる「新型コロナ・クリーンゼロ目標」達成のためには、どんな荒業でも取らざるを得ないということか。