日本酒の国内市場が縮小し続ける一方で、輸出量は年々増加しており、日本酒造組合中央会によれば香港や中国などのアジア圏での伸びが著しい。

 海外での日本酒人気について日本酒造組合中央会は「この10年で、平均輸出単価が上昇、つまり純米大吟醸など高価格の製品が売れてきました。和食レストランでの消費が中心ではあるものの、海外でも日本酒が買える小売店やネットショップも増えており裾野も広がっています。特に成長しているのが中国市場です。(東京電力福島第一原子力発電所の事故後から続いている)10都県からの輸入規制が解消されればさらに伸長が期待できるでしょう。また特に西欧諸国でも、ワインと性質の異なる性質を持つ優れた醸造酒として認められつつあります」と現状を分析。

 こうした高価格の日本酒の登場は「これまでは酒造好適米の品種や精米歩合というスペックによる価格差に加え、新たな価値が求められていると感じています」とのこと。『SAKE HUNDRED』のような新たなプレーヤーからの提案が市場に新しい動きを与えているとみている。

海外市場に向けた
リブランディング

 三つ目は海外戦略だ。先述の高級路線も日本酒の輸出量の伸びが背景にあってのことだ。低調な日本市場に対して、下記のグラフの通り、日本酒の輸出量は順調に伸びている。それでも生産量に対しては5%程度しかなく、日本酒業界全体を支えるには程遠い。

 そこでさらなる輸出拡大のため、日本酒の海外向けブランディングが急がれている。ワインのように世界に通用するブランドを作ろうと、海外のコンサルティング会社と提携し、欧米やアジアのマーケットに切り込もうとしているのだ。

 2018年、明石酒類醸造とロンドンのコンサルティングファームは欧米向けにリブランディング。日本酒のラベルを英文字表記にし、フランスのアーティストによるデザインで訴求性を追求した。