東京のアパレル企業で働くアキモト・ヨウイチさんの給料は、入社した5年前からほとんど上がっていない。世界の他地域で賃金上昇が加速する今も、アキモトさんはこの状況が変わるとは思っていない。「僕はまし。まだ雇ってもらっているからいいのかな」と言う。「会社はもうかっていない。賃金が増えないのは当たり前だと思う」米国の労働者は30年ぶりの大幅な賃上げを経験し、英国では賃金の伸びがインフレ率を上回っている。一方、アジア太平洋地域の経済大国の一部では、従業員が逆の経験をしている。多くの場合、仮に賃上げを勝ち取ったとしても、消費者物価の上昇分をカバーできるほど給料が上がることはない。世界経済が新型コロナウイルスの大流行から回復しつつある中、この著しい相違は、各国の中央銀行が物価圧力の高まりに対し、利上げなどの金融引き締め策をいかに迅速に実行できるかにも影響を及ぼす。
賃金上がる米国、上がらない日豪 何が違うのか
人手不足でも賃上げがない国では中銀への利上げ圧力も弱い
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