東京のアパレル企業で働くアキモト・ヨウイチさんの給料は、入社した5年前からほとんど上がっていない。世界の他地域で賃金上昇が加速する今も、アキモトさんはこの状況が変わるとは思っていない。  「僕はまし。まだ雇ってもらっているからいいのかな」と言う。「会社はもうかっていない。賃金が増えないのは当たり前だと思う」  米国の労働者は30年ぶりの大幅な賃上げを経験し、英国では賃金の伸びがインフレ率を上回っている。一方、アジア太平洋地域の経済大国の一部では、従業員が逆の経験をしている。多くの場合、仮に賃上げを勝ち取ったとしても、消費者物価の上昇分をカバーできるほど給料が上がることはない。