みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#4では、日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行の旧3行が合併してみずほ銀行が誕生する前夜に時をさかのぼって検証する。

「過去のしがらみは絶対的に捨てる」「3行合併ではたすきがけ人事という構図になりようがない」「私は絶対に旧行の利益代表にはならない」――。旧3行の頭取が当時インタビューで語ったこうした言葉は、今のみずほ関係者にどのように映るのだろうか。

「週刊ダイヤモンド」1999年9月4日号特集「検証!興銀・一勧・富士 3行大統合の『勝算と不安』」を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。旧3行の統合が発表となったものの、「みずほ銀行」の名はまだない時点において、前代未聞の規模となる3行合併が合併行の悲劇を繰り返さずに済むのかを検証した特集である。

日本興業銀行
西村正雄頭取インタビュー

――合併否定論者だったのでは。

 そうだ。合併行は互いが融合せず、意思決定が遅れるなどさまざまな欠点を持つ。欧米流の大胆なリストラ効果も期待できない。また、これまでは互いの不良債権の実態がわからなかった。

 だが、考えを変えた。ドイツ銀行がバンカーズを買収するなど、世界の主要金融機関は再び規模の利益を追い始めた。IT革命などの構造変化に、十分な投資・買収能力がないと対応できず、勝ち残れないからだ。一方、日本では公的資金導入で、本格的リストラが始まり、不良債権処理にメドがついた。

 興銀は単独でも専門性の高い銀行として十分存続していける。だが、国際舞台で外国勢と4つに組むのは現状ではむりだ。

―「興銀はもはや産業金融の雄ではない」と発言していたが。

 それは、間接金融時代の栄光だ。産業界が直接金融に急速に動いている今、エクイティビジネスすらできていない興銀がそうであるはずがない。錯覚、過信するな、同時に、努力すれば直接金融でも再び主役になりうるのだと行内に言いたかった。

――なぜ、一勧と富士なのか。

 リテール機能を補完し、総合金融業として圧倒的存在の銀行を模索した。他行がいかなる再編をしてもかなわないような。それには、2行では足りない。3行の合同が必要だ。とすれば、一勧・富士、三和・さくら、あさひ・東海の選択肢しかない。一勧・富士は互いに求め合っていたし、企業風土などさまざまな観点から興銀にとって最適のパートナーだ。

 5月の連休明けに3頭取で会い、その場で日本の金融を復活させる先駆者になるという危機感と使命感で一致した。持ち株会社にすることも決め、翌日に副頭取たちに作業を命じた。頭取同士では3回会ったが、1回目で3行統合は合意、決定した。

――世界で5指に入る金融機関との目標を掲げたが。

 努力目標ではない。すでに視野に入っている。総資産だけでなく、公的資金を引いた資本金でも世界3位だ。時価総額も5位以内に入っている。

 むろん、規模を求めるだけではダメだ。業務純益も、統合効果で1兆3000億円は上がるだろう。収益性も高まる。

――実務作業に入れば、各所で3行の主導権争いが始まる。