中国の配車サービス大手、滴滴(ディディ)グローバルがニューヨークに向かう回り道は険しく短かった。香港への帰り道もスムーズにはいかないだろう。だが滴滴だけでなく、中国の大手企業の多くにとって、方向は明らかだ。わずかでも機密情報を持つ企業が、米国で大規模な上場をする時代は終わった。滴滴は2日、44億ドル(約4980億円)規模の新規株式公開(IPO)を実施してから半年足らずで、ニューヨーク市場での上場を廃止すると発表。香港市場で上場を目指す計画を明らかにした。この異例の動きには、中国当局をなだめる目的があることは明白だ。同社は、中国の規制当局がデータセキュリティーの懸念から延期すべきだと指摘したにもかかわらず、IPOを実施した経緯がある。IPO直後には、中国当局が滴滴の中国ビジネスを妨害する事態も生じた。滴滴の株価はIPO価格からほぼ半減している。