理系は水平思考が苦手
文系は垂直思考が苦手

 理系の人は確かに限定された範囲においては論理的ですが、周囲を見渡すゆとりに乏しく、いきなり垂直思考(深く深く探索すること)に陥りがちです。たとえば、「他の代替案がある」と提案しても、「今までのやり方にケチをつけるな」と反応するかもしれません。「これしかない」という思い込みに陥りやすいのが垂直思考です。

 理系の人が、全体に目を向けて、水平思考(広く浅く周囲を探索すること)する習慣がつくと問題解決力が増します。一般に理系の人は垂直思考が得意ですが、水平思考が苦手です。一方、文系の人は水平思考が得意ですが、垂直思考が苦手です。

 理系の人は水平思考を重視する習慣を身につけることで、仕事に役立つ論理思考ができるようになります。水平思考を鍛えるためには、「マクロからミクロに考える」習慣を持つのです。マクロとは全体や概要、ミクロとは部分や詳細です。

 マクロからミクロに考えることで、決定的な死角をなくすことができます。いきなりこれしかないというミクロの視点に陥ると、もっと画期的で簡単に成果を上げるチャンスを逃してしまうのです。

 マクロからミクロに考える姿勢は極めて重要なので、言葉を変えてご紹介します。それが「企画―設計―実施」です。あらゆる仕事は「企画-設計-実施」が基本です。

「企画-設計-実施」の代わりに、「概要-詳細-具体化」でもかまいません。企画(概要)では、企画書(計画書)の作成を行います。企画の全体構想、コンセプト設計、仕様書の作成などを行います。設計(詳細)では、企画を実施するための開発設計書を作成します。新製品や新技術の開発のための具体的方法を探ります。実施(具体化)では、開発設計書に基づいた生産や販売活動が行われます。大量生産によって売上と利益を確保するための活動を進めます。

 仕事は「企画―設計―実施」で進みますが、その前提として大事なのが、経営活動の第一歩である目的の確認です。目的によって全体の範囲の定義が異なります。たとえば、全社戦略の問題解決なのか、財務の問題解決なのかで全体の定義が決まります。