戦略コンサル、シリコンバレーの起業家、MBAホルダー、世界のエリートの「新常識」とは?
答えは「Bullet Points(ブレットポイント)」と呼ばれる“箇条書き”によるコミュニケーション。
箇条書きは、英語や会計、そしてロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキル。「短く、魅力的に伝える」。それが箇条書きの強みだ。
箇条書きは、メール、プレゼン、企画書・報告書、議事録等、あらゆるビジネスシーンで大活躍する。4万部突破のベストセラー『超・箇条書き』の著者、杉野氏にそのエッセンスを語ってもらう。
パワポをいじくる前に、「箇条書き」で考える!
本日は、頭の中を整理し、物事をわかりやすく伝える方法を紹介する。
やり方は簡単だ。超・箇条書きの技術を使って、「何を伝えたいのか」を自分自身のメモとして箇条書きにする。それだけだ。
・プレゼンであれば、それをもとにスライドをつくる。
・アイデア発想であれば、それをもとに企画書をつくる。
・会議であれば、それをもとに発言する。
箇条書きにする過程で情報処理がなされているため、整理され、とても理解しやすいものになっている。外資系コンサルが行うストーリーラインづくりもこれの一種だ。ストーリーライティングともいわれる。
ストーリーラインとは、プレゼンで伝えたいことの流れを指す。絵やグラフだけでプレゼンするものであっても、伝えたいこと、そして伝えたいことの流れを、スライド作成前に箇条書きでまとめるのだ。
仮に箇条書きを使わないプレゼンであっても、ストーリーラインを事前につくっておくだけで、頭の整理ができ、相手に伝えたいことが明確になる。
伝えたいことが明確になったら、その1つひとつの伝えたいことをスライドにしていく。そうすることで全体構成や個別のスライドが相手により伝わるようになる。
熟練したコンサルタントであれば、箇条書きで伝えないときでも、ストーリーラインは必ずつくる。
簡単な例として、学生が就職活動で自分の強みをアピールするスライドをつくるというお題があったときを考える。いきなりスライドを考えるのではなく、先に箇条書きでストーリーラインをつくってから、スライドをつくるのだ。
例えば、学生が就職活動を前にして、自己PRのために、次のような箇条書きをつくったとする。下図を見てほしい。
最初の文では、2つの強みを頭出ししている。2つ目の文は、その背景として過去での努力を伝えることで、強みを説得力あるものにしている。このようにストーリーができたら、これをスライドにしてみるのだ。
スライドの上部には、「リード」と呼ばれる一文を入れる。相手に最も伝えたいことだ。リードには、箇条書きの各段落の1段目の文を入れよう。入れるのは一文だけだ。
「ワンスライド・ワンメッセージ」の形にする。これで各スライドのリードと箇条書きの各段落の1段目の文とが対応する。下図を見てほしい。
この場合、「強みは『英語力』と『国際感覚』の2つである」をリードとする。箇条書きの2段目、「TOEICの点数」と「国際発表回数」の情報については、図式化すればよい。
下図を見てほしい。このように2段目がないものは、リードの情報を図や絵で表していくとよい。こうすることで、よりわかりやすいスライドになる。
スライドをつくっていると、本来伝えるべきことを忘れ、「書けること」や「書きやすいこと」だけを書いてしまうことがある。あるいは、パワポを駆使して、見栄えのいい図やグラフづくりに注力してしまうこともあるだろう。
しかしそれでは本末転倒だ。
それを避けるためにも、箇条書きでストーリーラインをしっかりつくり、伝えるべきことを整理する必要がある。スライドをつくるのはそのあとだ。
こうすることで、箇条書き自体はスライドに出なくても、相手にしっかりと伝えるプレゼンになるのだ。
(本原稿は、杉野幹人著『超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術』を編集・抜粋したものです)