2022年度の診療報酬改定が大詰めを迎えている。技術料「本体部分」の改定の行方を医師と薬剤師が固唾をのんで見守る中で、関係者の間でひそかに注目を集める改定項目がある。処方箋再利用を可能にする「リフィル処方」の導入だ。医師会の猛反発必至のこの改定を実現すべく、厚労省と薬剤師会は04年から布石を打っていた。特集『薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰』(全13回)の#6では、2022年度診療報酬改定の注目ポイントの舞台裏に迫った。(医薬経済社 玉田慎二)
大詰めの2022年度診療報酬改定
薬局や財務省大歓迎の「リフィル処方」
2022年度診療報酬改定の最大の注目ポイントは、技術料本体までもがマイナス改定となるかどうかだ。
診療報酬改定は、医薬品の公定価格である「薬価部分」と、医師の初診料などの「技術料本体」で構成される。薬価は毎回ゴッソリと引き下げられ、技術料の引き上げに充てられてきた。その上で過去、技術料本体部分まで引き下げられたのは、たったの2度しかない。02年度と06年度の改定で、当時の小泉純一郎首相による「聖域なき構造改革」によってだった。
次回の22年度改定は、新型コロナウイルス感染症対策として投入した医療関係への補助金が数兆円にも及んだこともあり、財務省は診療報酬の技術料本体部分までのマイナスを画策している。中でも調剤報酬はターゲットだ。
一部の大手薬局チェーン企業はコロナ禍にあっても売り上げを伸ばしていることから、財務省は目を光らせる。マイナス改定となれば、調剤技術料の主要項目を直撃する。
12月の今まさに、医師会や薬剤師会幹部、また厚労族議員などがプラス改定を死守すべく水面下で折衝を続けている。
そんな中、薬局にとっても、市民にとっても、また財務省にとっても、唯一“歓迎”される調剤報酬改定項目がある。「リフィル処方」の導入だ。22年度改定で実現されるかどうか、関係者の視線は熱い。