調剤薬局の倒産が急増している。東京商工リサーチによれば、2021年1月から11月までの倒産件数は26件で過去最多だ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、病院の受診控えが広がったことが一因だ。それでも大手調剤薬局は堅調な業績を維持している。淘汰の波が迫る薬局の生死を分ける条件は何か。特集『薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰』(全13回)の#9では、薬局の最新倒産事情を追った。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
倒産が「55年ぶり低水準」の裏で
調剤薬局の倒産は過去最多
企業の倒産が“歴史的”な少なさだ。
帝国データバンクの集計によれば、2021年1~11月の企業の倒産件数は5514件で、前年同期から24.0%減った。20年通年の企業の倒産は7809件で、2000年以降で2番目の少なさだったが、それよりもさらに減っているのだ。このペースで進めば21年の倒産件数は5900件台に着地する見通しで、1966 年の 5919 件に次ぐ「55年ぶり」の低水準となる。
コロナ禍にもかかわらず倒産が少ないのは、政府の支援策の効果もあるものの、休・廃業する企業や、会社を畳んでいない休眠状態の企業が水面下で増加しているためだ。
倒産件数が“超低水準”で推移する中で、倒産が急増している業界がある。調剤薬局だ。
東京商工リサーチによれば、調剤薬局の21年1~11月の倒産件数は26件。東商リサーチが集計を始めた04年以降で最多だった17年の17件を既に上回り、過去最多となっている。負債総額も約29億円で過去最高額に達している。
なぜ調剤薬局の“倒産ラッシュ”が起きているのか。