使用禁止の理由とは
「健全な成長に不適切な指導」と「教室の運営の妨げ」

 まず、「習っていない漢字は使用禁止」はなぜなのか。

 これは確たる理由がひとつだけあるわけではなく、指導する先生によってその理由が異なるようであった。主だったものをピックアップしてみたい。

・誤った書き順・留めはねを覚えてしまう
・漢字を知らない他の児童に劣等感を抱かせる
・習っていない漢字を知っていることをほめられた児童は、ゆがんだ優越感を育んで授業に無関心になる
・他の児童を見下すようになる

 すべて可能性に属する話であるが、これらネガティブな可能性を取り除いておこうというのが狙いとしてあるらしい。
 
 納得できる部分がないわけではないが、まあ突っ込みどころは多い。書き順などを誤って覚えたらあとでちゃんと習った時に正しく覚えなおせばいいし、劣等感や優越感というのは、児童らは教室で漢字以外のところで散々感じさせられながら成長していくものであるから「習っていない漢字」だけ目の敵にするというのはおかしい。そもそも劣等感も優越感もネガティブ一辺倒のものではなく、人や局面によってはポジティブで必要とすらされるものである。
 
 この他に、もう少し実際的な理由としては、 

・クラスメイトが読めないと班の発表授業や、他の児童が閲覧できる作文の掲示などに支障が生じる
・足並みをそろえた指導に乱れが生じる

といったものが、SNSなどでは散見された。