違法な残業強制にパワハラ、セクハラ……。労働の場における待遇の悪さは長年問題になり続けているものの、根本からの解決には至っていない。そんな中、厚生労働省が子ども向けの学習アプリ『労働条件(RJ)パトロール!』をリリース。遊びながらどんな労働条件が問題なのかを学べるアプリである。(フリーライター 武藤弘樹)

「いよいよ国が本気を出した」
話題のアプリで注目高まる

子ども向けに「働き方改革啓蒙アプリ」をリリースした、厚労省の本気度労働条件(RJ)パトロール!のスタート画面

 『労働条件(RJ)パトロール!』というアプリがやや話題になっている。ブラック企業に潜入して違法な待遇を発見・摘発するという内容のもので、遊びながら労働基準法について勉強しようという意図の子ども向け学習アプリである。

 2017年に提供開始されたものだが、徐々に認知が広まったとみられる。今になって話題になっている理由のひとつとして考えられるのは「厚労省が公式にリリースした」という点であろう。娯楽としては毒と見なされがちだった“ゲーム”に、お国が参入してきたことが衝撃であり、また「いよいよお国がダメな企業の取り締まりに動き出したぞー」という気配に世間がさざめいた。

 働き方改革関連法の施行は2019年4月から順次行われている。しかし、政治に関心のある人や職場環境の変化を実感した人でないとおそらくキャッチできていない動きであるから、今回の厚労省公式アプリのリリースはそれ以外の人たちが“働き方改革の波”を感じるのにいいきっかけになったように思える。

 ともあれ、くだんのアプリであるが、話題になっているのだからこれはやっておいた方が面白そうである。褒めるも批判もまずはやってみてからである。はたしてどのような内容のアプリなのか、個人的な感想を添えつつレポートしていきたい。