現場に任される判断
「学習指導要領」を読み解く
次に、かのルールはどれくらいの程度で指導されているのか。
先生たちが掲げるそのルールの正当性がそれぞれ違っていたように、指導の程度も先生ごとによって違うようである。ある先生は厳しいし、ある先生は黙認し、ある先生はむしろ「よくそんな漢字を知っているね」とほめてくれることもある。「習っていない漢字が含まれているから、名前を漢字で書くな」と指導され、翌年変わった新担任に「自分の名前くらい漢字で書けないのか」と言われ、悔しさに涙した思い出を持つ人もいるようで、それくらい指導の程度は“人による”。
また、学校によっても方針が異なることがあり、習っていない漢字を使った生徒をほめた先生があとで学校側に怒られるケースも存在する。教育の現場を担う先生たちも当然駒ではないから、そうした学校の方針に違和感を覚えて、こっそり児童を褒めるなどの地下レジスタンス的活動を続ける人もいる。
これら“指導の程度の差”から伝わってくるのは、現場の先生たちの葛藤である。
それでは、指導方針についてまとめられた文科省の「学習指導要領」(平成29・30・31年改訂)にはどう書いてあるのか。
学校で使う漢字に関しては、筆者が目を通したところ2カ所言及がある。ちょっと面白いのでここにシェアしたい。
まず1カ所目、
要約すると「1年生は1年生で習った漢字を、2年生は1・2年生で習った漢字を読み書きしましょう」ということである。積極的な言及はないが「2年生は3年生以降の漢字は使わないように」と深読みすることもできるが、どうか。
これに対するアンサーが2カ所目である。