「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは12月に出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

頭のいい人と悪い人「面接の受け答え」で現れる差Photo: Adobe Stock

 面接で一方的に話してはいけない。よく「面接のマニュアル」などに書いてあることですが、それはなぜなのでしょうか。この答えを単に「盛り上がらないから」「棒読みはダメ」などと表面的にとらえていると、内定はもらえません。

 面接で最も重要なのは「相手の課題に対して、自分を雇えばそれを解決できますよ」と伝えることです。つまり相手の課題、困りごとを聞き出せた時点で、その面接は9割成功なのです。

 もちろん、課題をリサーチするため、事前に求人票を読み込むことも大切です。しかし本当の現場の課題の詳細は、面接で直接聞き出すしかありません。そしてそれは対話することでしか、見えてこないのです。

 対話をするときのポイントは、面接官に「刺さっている」「刺さっていない」をその場で判断して、深掘りしたり、逆にその話題を終わりにしたりすることです。

 例を挙げます。

〈対話を深掘りする場合〉
山下「今の僕が勤務している工場の現場は作業者の生産性がそのままコストに跳ね返ってきます。そのため、僕は作業者の人が疲れない仕組みを導入しました。御社でも、そうした工夫はされていますか?」【刺さるのかの確認】

面接官「実は、当社でも現場の作業者のモチベーションアップが課題なんですよ。山下さんが入社されたら、できることはありそうですか?」【課題がわかった!】

山下「はい、今の仕事でやってきたことが生かせると思います。例えば……(具体例を述べる)」

〈相手に刺さっていない場合〉
山下「今の僕が勤務している工場の現場は作業者の生産性がそのままコストに跳ね返ってきます。そのため、僕は作業者の人が疲れない仕組みを導入しました。御社でも、そうした工夫はされていますか?」【刺さるのかの確認】

面接官「うちの会社はロボットを導入しているので、あまりそこは問題になっていないですね」【刺さっていない!】

山下「自動化や効率化を推進されてるんですね。僕は今の部署で、2Dで設計していた図面を3Dに変えたことで、生産性が2割アップしました。そうした取り組みは、御社でも生かせるでしょうか?」
面接官「3D化はまだできていないんですよ。その周辺の専門知識がある人材がかなり不足していて、手が回っていないのが実情です」【課題がわかった!】

山下「そうですか。僕が今の仕事でやってきたことが生かせると思います。例えば……(具体例を述べる)」

 この会話のポイントは

「御社の課題は何ですか?」

 について、手を替え品を替え、こちらから質問すること。

 そうすると相手は、今回の採用の背景になっていることを語ってくれるはず。あとは、それに合わせて「僕はこんなことができます」と答えればいいのです。

 この質問は、いわばこちらから「御社はパンとご飯、どちらを召し上がりますか?」と聞いているようなもの。ここで「パン」とわかってから「僕は特製サンドイッチがご用意できますよ」「あんパンもあります」と話し始めれば、すぐに希望にたどりつけます。いきなり「お赤飯がおいしいですよ!」というミスを防ぐためにも、課題を聞く質問は有効なのです。