一流と二流の「ルーティン」への意識の違いとは?一流と二流の「ルーティン」への意識の違いとは? Photo:Daiana Sabau/EyeEm/gettyimages

スターバックスやザ・ボディショップなどでCEOを務めた岩田松雄氏。岩田氏は、人と人のつながりが希薄になるコロナ禍の今、企業にますます重要視されているのが「ミッション」であると説く。日々の生活のひとつひとつのルーティンが仕事の成果になぜ必要不可欠なのか? 多くの有名企業で実績を残してきた岩田松雄流の経営哲学を伝授する。

 前回までは、「ミッションの重要性」と「戦略への落とし込み」のお話をしました。現在、コロナ禍でリモートワークが増え、今まで以上に「自己管理」が求められています。今回はリーダーとしての基本的な「日常の心構え(ルーティン)」についてお話ししましょう。

仕事の成果は規則正しい
生活のリズムから生まれる

 一流のアスリートは、日々の生活習慣の決まり事や、試合や競技に臨む際に自分に課している一連の動作、所作といったものを持っています。いわゆる「ルーティン」と呼ばれるものです。

 よく知られているのは、ニューヨーク・ヤンキースなどで活躍していたイチロー選手です。試合前の準備運動や、自らのグローブを手入れしたりする時間のすごし方は、時計代わりとなるほどに正確だと言われていました。

 試合で打席に立つときは、ネクストバッターズサークルでの軽いバットの素振りから始まって、バッターボックスに入るときの屈伸運動、さらには、袖を引っぱりながら立てたバットをセンター方向に向けるしぐさにいたるまで、いくつもの決まった動作が寸分の違いもなく繰り返されます。これらの一連の動作を、儀式のようなものだという人もいます。しかし、儀式の決まり事のひとつひとつにいわく因縁があるように、イチロー選手の「ルーティン」にも、そうでなければならない必然性があるはずです。

「ルーティン」とは、傍目には、淡々とした動作や所作の繰り返しに見えながら、事をなすためにはなくてはならない重要な作業です。このルーティンをおろそかにせず、同じことを誠実に続けていけるかどうか――。そこに、一流と二流の違いがあるように思います。