秋葉原のドン・キホーテ8階にある「AKB48劇場」(エーケービーフォーティエイトシアター)。ココは、会いに行けるアイドルというコンセプトのAKB48にとって重要な拠点ですが、この“自前の専用劇場を持つ”というのは、初期投資や維持費が大きいもの。普通に考えればブレイク前のアイドルがそんなことをするのはかなり無理があるはずです。

この疑問を会計的にナゾ解いてみるとどうなるのか?新刊「強い会社の『儲けの公式』」より、なぜAKB48はブレイク前に駅前の一等地に専用劇場を持てたのか、を探ってみたいと思います。今回は前編です。

儲けている会社には
会計的なカラクリがあった!

 この不況の中でも、儲かっているビジネスはあります。「こんなことをしたら、赤字だろう」「常識的に考えて、無理だろう」、一見するとそう思われるビジネスが、成功していたりします。しかし、実はこれ、会計的視点でみると「なるほど、そういうカラクリなのか!」と合点がいくものばかりなのです。

AKB48は、なぜ売れる前から自前の劇場を持てたのか
JALは、なぜ驚くべきスピードで復活、再上場できたのか
コジマは、なぜ共同戦線の相手にヤマダでなくビックカメラを選んだのか
ユニクロは、なぜアパレル業界で初の売上高1兆円を達成できるのか
青山フラワーマーケットは、なぜ市場の半額で花を売ることができるのか
アップルは、なぜ魅力的で革新的な商品を生み出し続けられるのか

 こうした疑問も、会計の視点で眺めれば、解けるのです。なにより儲かる会社には「儲けの公式」があるのです。

 会計士となって20余年、これまで、私はさまざまなビジネスを「会計」というツールを用い「数字」を使って、支援してきました。上場のお手伝いから、会計システムの導入、事業継承、M&Aなど。また粉飾や横領といった不正が発覚した会社では、不正調査をとりまとめ、時には法廷に立ち、ことの顛末を報告したこともあります。

 こうした経験の中で、気づいたことがあります。それは、上場するほどではないにせよ、地元で一番といわれるような、優れた結果を出している「強い会社」では、経営に関わる人たちが、「会計」や「数字」の本質を理解している、という事実です。

 逆に、事業に行き詰まり、会社を切り売りし、最悪、夜逃げにまで追い込まれた、ビジネス的に「弱い会社」の経営者たちの大半は、決算書という記号と数字に翻弄され、「会計」や「数字」の見方が分かっていないことが多かった、という事実です。

 このたび上梓した著書では、これまでの経験や会計の視点から、“強い”といわれている会社を引き合いに「儲けの公式」を、自分なりに読み解いてみました。今回はその中からいくつかをご紹介したいと思います。