難しい課題とは、ランニングのフルマラソンサブ3達成であったり、ゴルフのスコア100切りであったりするだろう。もちろん、個人の能力によって課題の難易度は様々だ。長年続けてきたスポーツであれば、安定したルーティンが確立されていることも多いはず。そういった慣れ親しんだコンフォートゾーンの外に目を向け、ワンステップ上の目標を設定してみると、脳が活性化する可能性がある。

短期記憶を司る
ワーキングメモリのメリット

 ワンステップ上の目標を掲げたら、次は実際に学習やトレーニングに取りかかる段階だ。このとき、「ワーキングメモリ」と呼ばれる能力が効率よく成果を上げるためのキーワードとなる。ワーキングメモリは「作業記憶」とも呼ばれ、作業や一連の動作を遂行する上で必要な情報を一時的に記憶し、処理する能力だ。

 脳の記憶は大きく分けて長期記憶と短期記憶があるが、ワーキングメモリは短期記憶に分類される。迅速な対応、必要な情報と不要な情報の取捨選択、的確な判断は、ワーキングメモリの働きによるものだ。

「脳科学の分野では、人間はワーキングメモリを使って5〜9個の情報を同時に処理することができると考えられています。そうすると、9個の情報を同時に処理できる人は、5個の情報しか処理できない人と比べて80%も高い成果を上げられるということになります」(『Life Kinetik(R) 脳が活性化する世界最先端の方法』より)

 ワーキングメモリが高い人は、テンポよくスピード感をもって物事を進めることが可能だ。新しいこと、不慣れなことへのチャレンジには、挫折というリスクが伴う。しかしワーキングメモリが発揮されることで、学習やトレーニングをスムーズに進められ、挫折を回避できる可能性が高くなるだろう。