マカオのカジノ Photo:Ayano Yoshiokaマカオの老舗カジノホテル「リスボア」 Photo:Ayano Yoshioka

ラスベガス以上の収益を誇る世界一のカジノシティー・マカオで、「新カジノ王」こと太陽城集団のCEOが突然逮捕された。マカオの全カジノの約半分を傘下に収めているといわれる実力者。捕まえたのはマカオ警察だが、黒幕は中国政府ではないかということで、カジノ業界に激震が走っている。(フリーランスライター ふるまいよしこ)

世界一のカジノシティーで、「新カジノ王」が逮捕された

 香港を訪れたことのある人ならば、マカオにも“ついで”に足を伸ばし、「アジアのラスベガス」で生まれて初めてのカジノ体験をした人も少なくないのではないだろうか。実のところ、マカオの訪問者は年々増加し、2006年にマカオのカジノ売り上げは、本場ラスベガスを抜いて世界一になった。

 そんなマカオのカジノ業界にいま大激震が起きている。ここ10年ほどで太陽城集団(サンシティー・グループ)を業界売り上げのほぼ半分を握るまでに育て上げ、「新カジノ王」と呼ばれていた周焯華(アルヴィン・チャウ)CEOが11月末、マカオ警察に違法賭博営業とマネーロンダリングの容疑で逮捕されたのである。

 太陽城集団は、マカオでのカジノ運営の他、そこから派生する形でホテルやレストラン、レジャー施設の運営や旅行ビジネス、金融や高級品店、さらには映画製作や配給に芸能人マネジメントと、娯楽関連業界で手広い業務を展開する、香港株式市場上場企業である。特にカジノについてはマカオにあるカジノ41店、合わせて約6000テーブルのうち、すでに50%近くが太陽城集団の傘下にあるといわれる。日本でもカジノ解禁が声高に論じられていたころ、太陽城集団も進出の準備を進めていたとされる。そのトップが突然逮捕されたのだから、マカオ・香港の娯楽業界に衝撃が走った。