2位には日本製麻(兵庫県神戸市)がランクイン。2021年3月期の平均年収は338.5万円だった。同社は、土のう袋など黄麻製品や包装資材の輸出入および製造を行うほか、国産パスタ製造など幅広く事業を展開している。過去にはホテル業や水産業を展開していたこともある。

 また同社は、自動車用フロアマットの製造販売も行っている。しかし、自動車業界は現在、新型コロナウイルス感染拡大と半導体不足で見通しが不透明になっており、各メーカーが減産を行なっている。この影響を避けることは難しいだろう。

 関連性の低い事業を複数手掛けて多角化している中小企業は、事業収益のリスクを分散できるメリットがある一方で、事業ごとに社会情勢の影響を考慮した、きめ細やかな対応が求められる。そのため、経営の安定化が難しくなる側面もある。

 5位の小売業、オンリー(京都府京都市)はスーツを中心とした紳士服・婦人服の製造小売り事業を展開していて、平均年収は386.0万円だった。

 オンリーを巡ってこの夏、ある動きがあった。21年8月18日、同社の創業者が代表取締役を務める紳士服中西(京都市)がMBO(経営陣が参加する買収)を実施すると発表したのだ。MBOは10月22日に成立し、オンリーは22年1月18日付けで上場廃止になる見通しだ。

 テレワークの普及によって、スーツの着用人口は減少している上に、大手アパレルの実店舗も閉店が相次いでいる。紳士服業界全体の雲行きは依然として怪しい。

 ランキングの上位を占めるサービス業や小売業は、一般的には労働集約産業で、日本は欧米の同業と比べて生産性が低い。中小企業の比率が高く、年収が金融やメーカーとの比較で見劣りするため、人材確保に苦労している企業が多い。

 なお、平均年収が400万円を切ったのは7社だった。400万円以上500万円未満は39社に上っている。

 ランキング完全版では、平均年収が低い100社を掲載している。業種別の動向も整理しているので、ぜひ確認してみてほしい。

(ダイヤモンド編集部 加藤桃子)

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