お正月休み明けに「今年の手取り年収」を試算するのは、今年で丸20年も続けている恒例行事だ。額面年収、家族構成別に72パターンを試算している。手取り年収は何かの書類に記載があるわけではなく、自分で計算しないと知ることができない。当連載の読者に今年の最新情報をお伝えしたい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
額面年収700万円の手取り年収は
20年間で50万円も減っている!
毎年恒例の「あなたの手取り年収」、2022年版をお届けしよう。会社員の「手取り年収」とは、額面給与年収から所得税・住民税、社会保険料を差し引いたものだ。自分が自由に使える金額をぜひ知ってほしい。
実は、手取り年収は何かの書類に記載があるわけではなく、自分で計算しないと知ることができない。
そこで、毎年お正月休み明けに家族構成別に72パターンを試算し、当コラムの読者にお伝えすることにしている。72パターンの試算は手間がかかるが、前年比較や連続性を見ることができるので、楽しく作業している。
試算を始めたのは2002年なので、今年で丸20年になる。まず、額面年収700万円を例に02年からの20年間の手取り年収推移を見てみよう。
図(1)は、額面年収700万円の手取り年収を02年から22年までグラフ化したもので、手取りが減り続けているのが一目瞭然だ。20年前と比べると手取り年収は、なんと約50万円も減っている。使えるお金、もしくは貯蓄できるお金が50万円減っているということだ。
増税、社会保険料アップがあると
手取り年収は減少する
そもそも手取り年収の試算を始めたのは、03年にボーナスにかかる社会保険料率がアップし、大幅に手取り年収が減少したことがきっかけだ。当時は駆け出しのFP(ファイナンシャルプランナー)だったが、「税金や社会保険料の制度改正があると手取りは大きく変化する。今後も改正が続くかもしれない」と考え、毎年試算を続けてみることにした。
すると翌年には、配偶者控除の一部廃止という税制改正が実施され、専業主婦を持つ夫の手取り年収が減少した。さらに06年と07年には、定率減税の縮小と廃止が実施された。減税がなくなったため、結果として増税になった。
15歳以下の子どもがいる家庭に影響が大きかったのは、11年(所得税)・12年(住民税)の「15歳以下の子どもは税金面での扶養から外す」改正だ。グラフを見ても、その年に手取りがガクンと減っていることが分かる。
民主党政権時代に15歳以下の子どもを対象に「こども手当(減税は児童手当)」を作り、その財源を捻出するために税金面の扶養控除をなくすことになった。ところが、子ども手当は当初よりも金額が少なくなり、年収制限も設けられることになったため、結果として増税だけが残った。
16~18歳の子どもがいる場合、親が受けられる「特定扶養控除」は金額が縮小したため、高校生の子どもがいる家庭も手取り年収が減っている。
この他に厚生年金保険料は、04年から17年まで14年連続で引き上げられている。
ちなみに額面年収500万円のケースだと、手取り年収は20年間で35万円減っている。
お待たせしました、それでは今年の「あなたの手取り年収」を見ていこう。