――……ソンシツのクリコシ、なんでしたっけ、ソレ?

藤原 今年の赤字を翌年以降の利益(所得)から差し引いていいですよ、という制度です。3年先まで使えます。青色申告にすると、「損失の繰越」以外にもたくさんの節税メリットがあります。しかも、抑えられるのは所得税だけじゃありません。住民税や国民健康保険料も安くなります。これらは、確定申告で提出した所得(課税対象額)をもとに翌年分が計算されるからです。税金の計算に用いる大もとの金額を、年をまたいで抑えられるのは大きなメリットですね。

青色申告の4大節税メリット

――たくさんメリットがある青色申告ですが、初心者に向けてざっくり教えてもらえると助かります。

藤原 確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、フリーランス(個人事業主)の場合はどちらかを選択することができます。

 青色申告には正確な帳簿を作成する義務がありますが、最大で65万円も事業所得から差し引くことができ、その結果、所得税を安くすることができます。次のページのような税率が低いケースでも、白色申告に比べて所得税が少なくなります。税率が増えればもっとお得に。所得税は課税対象の額で決まるので、控除が多いほど所得税が少なくてすむというわけです。

 それから、先ほどお伝えしたように事業所得が赤字となった場合は、損失を繰り越して(3年間)、翌年以降に利益が出た場合は所得から控除することができます。この結果、繰り越した損失×税率相当分の税金を安くできます。

 また、30万円未満で購入した固定資産は、その年の費用にすることができます(白色申告では10万円)。なお、これは期限付きの特例ですが、毎回延長されています。総額300万円まで利用することができるので、儲かっている人には大きなメリットです。

 さらに、青色申告では、生計を一にする家族が事業に従事している場合、「青色事業専従者」として届けておけば、その家族へ支払った給与の全額を費用(必要経費)にでき、所得税を抑えることができます。