企業悶絶!インフレ襲来#1Photo:SlobodanMiljevic/gettyimages

オイルショック再来、ウッドショックにアイアンショック……。こんな表現を2021年にニュースで目にした人も多いだろう。いずれもコロナ禍からの世界経済再起動の中で高騰した資源だ。特集『企業悶絶!インフレ襲来』(全13回)の#1では、日本のものづくり企業を悩ませる二つの金属の高騰を追った。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

原油、鋼材の高騰だけじゃない
企業を襲う「メタルショック」

 世界的な資源の高騰が続いている。最も代表的な品目は原油と鉄鋼だ。原油については2021年終盤にいったん、高騰の一服感が出たものの、足元では再度上昇局面にある。新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株の感染拡大があっても主要国の経済活動への影響は限定的という楽観的な観測が広がっていることが要因だ。

 また鉄鋼については、21年上期に鉄鉱石、下期に原料炭が価格高騰した結果、「アイアンショック」と呼ばれるような鋼材価格の上昇が起こった。足元では鉄鉱石、原料炭とも高騰が一服しているが、建築用の鋼材などはまだ価格動向が厳しい。

 そして産業界を悩ませるのは、「油と鉄」の高騰ばかりではない。コロナ禍一巡後の需要回復のみならず、構造的な要因から高値となり、産業界のコスト増大をもたらしている素材が二つある。

 15種で平均4%値上げ――。パナソニックは21年10月、国内最大シェアを誇る「人気商品」の値上げを断行した。