住民票の届け出ひとつで
負担が大きく変わる不平等な現実

 通常、同じ住所で暮らす家族は、同一の世帯員として住民票に記載される。しかし、子どもが結婚して新たに所帯を持ったりして、親世代と家計を分けて暮らすようになった場合などは、同一住所で暮らす家族でも世帯を分けて住民登録することは可能だ。

 Bさんは、母親であるマツさんが特養に入所した際に、この住民票上の世帯分離を届け出たため、利用者負担段階を決める基準になる収入がマツさんひとりのものとなり2段階と判断された。その結果、高額介護サービス費の限度額が1万5000円に引き下げられたのだ。

 しかし、介護施設に入っている人がすべて世帯分離をしているわけではなく、住所を移すことに難色を示す施設もある。

 そのため、息子であるAさんの所得も合算して計算されているウメさんは4段階のままなので、高額介護サービス費の対象にはならず、かかった介護費用の1割、月3万5000円をそのまま負担しているのだ。

 介護施設に入所した場合の部屋代や食費も、この利用者負担段階に連動して限度額が決まってくる。そのため、同条件の部屋で、同じような食事内容でも、2段階のマツさんは3万6300円で済むのに、4段階のウメさんは10万500円を支払っているというわけだ。

 突発的な病気やケガの治療と異なり、介護は長丁場だ。この状態が2年続いたら、AさんとBさんが負担する介護費用の差は200万円以上になる。

 また、介護保険料も同様に本人と家族の所得を合算して計算される。介護保険料は市区町村によって異なるが、神奈川県横浜市の場合、ウメさんは年間2万7000円(月2250円程度)、マツさんは年間5万7000円(月4750円程度)と倍以上差がつく。

 収入に変わりがなく、利用している介護サービスも同じなのに、住民票上の届け出ひとつで、これだけの差が出るのはあまりにも不公平というものだ。