積み立ての原資は
どうやって作るのか?

 では実際にiDeCoで積み立てに回すためのお金はどうやって作ればよいだろう。前述の例では月額2万3000円なので、この金額を現在の毎月の支出の中から捻出する必要がある。日銀の金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査」(令和2年)によると、30代の貯蓄残高の中央値は400万円、40代のそれは520万円であるから、10年たっても貯蓄残高は3割ぐらいしか増えていない。

 一般的には40代というのは給与も上がる代わりに税金も増え、住宅ローンの返済や子供の教育費などで出費が多いため、なかなか貯蓄に回すことができないからだ。ところが同データによれば50代の貯蓄残高の中央値は800万円となっているため、その増加率は6割近くになる。つまり50代に入ってくると、それまでよりは貯蓄を増やしやすくなるということだ。

 これに加えて、日常の支出の中から無駄を見つけるのもそれほど難しいことではない。例えば現在の年齢や家族状況の変化に対して無駄な保険に入り続けていたりしないか、あるいは各種会費やサブスクリプションの契約であまり使っていないものを見直すとか、そういったことで無駄な固定費を削減することは可能だ。

 それによって月に2万~3万円ぐらいを捻出するのは比較的容易にできる。そうやって出てきたお金を積み立てに回すことで、特段節約などはしなくてもiDeCoへ回すことは可能になるだろう。繰り返しになるが、50歳でも決して遅いということはないのだ。