自社の製品をPRするには、その人の状態や悩みを引き出すことも大事ですから、接客の中で時には雑談も必要です。相手からの個人的な質問が多いからといって、その全てがブラックな客と認識してしまうと、顧客数も激減です。オペレーターも職を失いかねません。

 だからといってこうした行為を放置すれば、クレーマーは調子に乗り、ハラスメントがエスカレートしていきます。さらには、せっかく採用し、育てている若手社員の心が折れて退職してしまうかもしれません。こうした事態を避けるためにも、企業は、現場に任せっきりで放置せず、早めに担当者を「ギブアップ」させて、先輩や上長が対応する仕組みを作らなければいけません。新人だけでなく、担当者を孤立させない仕組みを作り、周りのフォローこそが重要です。

ソフトかつ毅然と対応するのが大切

 こういった場合、企業や組織側にとって理想的な結果は、困った顧客自身に、自分がモンスタークレーマー状態になっていることに気づいてもらい、善良な顧客に戻ってもらうことではないでしょうか。そのためには、できないことはできないと、はっきり告げることが必要不可欠です。

 担当者が毅然とした対応を取るためには、こうしたケースで取るべき“基本的な方針”をきちんと決めなければなりません。基準がなければ、理不尽な要求は、限度なく際限なく担当者を追い詰め、現場は混乱します。どういった基準や方針を決めればいいのでしょうか。

 まず従業員を守るために、業務を離れた個人的な質問には答えられない(答える必要がない)ことを明確にし、「断っても良い」と現場に徹底することが重要です。「顧客からの要請は、断ってはいけない」と思い込んでいる人は少なくありません。

 そして、実際に対応するときは(1)できるだけソフトに、(2)しかし毅然と対応することが大切です。とはいっても、これがなかなか困難なことなので、あらかじめフレーズを決め、教えておくことも有効です。