プライベートなことを聞かれたり、
無理な要求をしたりしてきたら“チェンジワード”で

 私が指導するのは、会話内容がプライベートな段階になってきたときに使う“チェンジワード”。穏やかな言葉で、しっかりとお断りするフレーズです。

「会社の方針として、個人的な質問にはお答えしてはいけないことになっているんです」
「大変申し訳ありませんが、年齢や配偶者の有無、フルネームなどの個人情報は開示していませんのでご了承ください」
「○○様のご要望にはお応えできかねます。どうぞご理解ください」
「先ほども申し上げたように、私どもはそうしたご質問(要望)にはお応えできません」

 などです。

 あまりにしつこく、電話が長時間に及ぶ場合には「これ以上は対応できかねます」「失礼します」と丁寧かつ毅然とした一言を付け加え、電話を切って大丈夫だと指導しています。担当者が電話を切った後に再度電話がかかってきて、激怒して怒鳴りつけられることもあるでしょう。そうしたらすぐに担当者を代え、他の社員が「これまでの経緯は記録しています」「ご理解いただけないのは残念ですが、当社の対応方針は変わりません」「無理です」などのやり取りを繰り返します。どんなに大切な顧客でも、社会通念を逸脱した(限度を超えた)「無理な要求」をのむ必要はないのです。

 ここで気を付けたいのは、間違っても「いい加減にしてください。セクハラ(カスハラ)です!」などと怒鳴ったり叫んだりしないこと。録音の中からその部分だけが切り出され、ネットなどにさらされる可能性が大きくなるからです。どんなに相手が理不尽でも、声を荒らげた担当者の音声が拡散し、さらに「顧客をセクハラ扱いするブラック企業だ」などとネットがざわつけば企業は大きなダメージを受けてしまいます。