2022年1月、現在は5つ目のタイトルに挑戦中

 おそるべきことに、藤井は現在、5つ目のタイトル獲得を視野に入れている。

 将棋界の歳時記では、年明けから王将戦七番勝負が始まる。藤井は現在、渡辺王将に挑戦中だ。藤井は四冠。渡辺は王将のほかに名人、棋王を併せ持つ三冠。タイトル戦番勝負で四冠と三冠が対戦するのは、史上初のことだ。

 将棋界でこれまで五冠を保持した棋士は、大山康晴十五世名人(故人)、中原誠十六世名人(引退)、そして羽生善治九段(現在51歳)の3人しかいない。もし藤井が王将位を獲得すればもちろん、史上最年少での達成となる。

 王将戦第1局は、両者が持てる力を尽くしあった名局だった。そして最後に相手玉を詰みに討ち取ったのは、藤井の方だった。藤井と渡辺の頂上決戦は、過去にはこれまで、若き藤井が9勝2敗と圧倒してきた。渡辺がもしこのまま王将位を譲り渡せば、いよいよ盤石の藤井時代が見えてくる。

 八大タイトルのうち、藤井がまだ挑戦したことがないのは名人、王座、棋王の3つだ。棋王と王座の挑戦権を争うトーナメントはこれから始まる。