王座のタイトルを保持し「努力の鬼」と呼ばれる永瀬もまた、藤井にとっては強敵の一人だ。両者は練習将棋を指す間柄で、プライベートでも仲がいい。しかし公式戦の対戦となれば話は別だ。2022年1月16日に行われた朝日杯2回戦では、藤井は永瀬に敗れた。

 棋王戦のトーナメントで藤井に勝ったのは斎藤慎太郎八段(28歳)。斎藤もまた藤井に3勝4敗と、拮抗(きっこう)した数字を残している。斎藤は現在A級順位戦で7勝0敗のトップ。2年連続で名人挑戦権を獲得する可能性は高い。

現在B級1組。今年中にA級昇級の可能性

 順位戦では、藤井は現在B級1組に所属。今期成績でトップを走っている。ただし11回戦ではA級昇級を争う千田翔太七段(27歳)に苦杯を喫した。千田は藤井に2勝4敗。2019年度の朝日杯準決勝では藤井に勝って初優勝を決めた。今期順位戦における値千金の1勝によって、千田はさらに飛躍していくかもしれない。

 藤井はB級1組最終13回戦で、佐々木勇気七段(27歳)と対戦する。佐々木は藤井の史上最多29連勝を止めた棋士だ。もしかしたらここでまたドラマが起こるかもしれない。さらにこの先もずっと、両者は急所で対戦し続けることだろう。

 藤井が難関を突破して、もしA級に昇級すれば、10人総当りのリーグで全9戦を戦う。その際には当然、名人挑戦権争いの本命になるだろう。