サーバーの仮想化やデスクトップの仮想化など幅広い仮想化技術で世界的に極めて高いシェアを誇るVMware(ヴイエムウェア)。クラウド/ビッグデータの時代を見据え、親会社EMCコーポレーションによる戦略的なグループ経営陣の組み替えが行われ、今年9月に前任のポール・マリッツ氏(現EMCチーフ・ストラテジスト)からVMwareの舵取りを受け継いだのが、パット・ゲルシンガー氏だ。「私に与えられた宿題は、子どもを大人にすること」と語る氏は、インテルでのキャリアが長く経営幹部も務め、EMCでの前職はCOO(最高執行責任者)兼社長であり、経営手腕は定評がある。同社を率い、クラウドコンピューティングの未来像をどう描いていくのか、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 魚谷武志)

成長が早すぎるティーンエイジャーのような会社を
成熟した大人の会社に

――クラウドが急速に広がり、サーバー仮想化というそのキーテクノロジーを握っている御社もハイスピードで成長している。今の成長過程における課題と脅威は何か。

Pat Gelsinger/VMware, Inc. CEO
テクノロジー業界でのキャリアをインテルで開始し、30年以上にわたり、技術職、管理職、上級管理職を含む、多くの要職を歴任。インテル初のCTO(最高技術責任者)に就任し、インテル・ラボの責任者として多くの研究プロジェクトをリードした。その後EMCでCOO兼社長に就任。2012年9月より現職。

 成長を続けることが最大のチャレンジだ。そのために強化すべき点が三つある。第一に、ソフトウェア企業として売上高50億ドルの規模になったが、成長が早すぎて、この業界のより大きく、長期にわたって続いている企業に比べて成熟度が追いついていない。まるでティーンエイジャーのような組織でやってきたが、今後数十年続いていける企業組織となるべく、業務プロセスや顧客対応の面でもっと成熟しないといけないと感じている。

 もう一つはイノベーション。今後とも早いペースでイノベーションを続けていかないといけない。我々のテクノロジーを顧客のデータセンターで展開するプライベートクラウドのみならず、パブリッククラウドやそれらをシームレスに統合するハイブリッドクラウドへと広げていく。

 またグローバルな展開にも対応していかないといけない。元々はアメリカの企業だが、ヨーロッパやアジアでビジネスが広がっている。我々は仮想化クラウド分野ではリーダーだが、この業界は急速に立ち上がっていてさまざまな企業が台頭している。

――パブリッククラウドではアマゾンの台頭が著しい。アマゾンは、成熟したプレーヤーでもなく、コスト競争をしかけてくる存在だが、どう見ているか。

 アマゾンは、急速に成長しているパブリッククラウドの分野ではリーダー企業だ。しかし、パブリッククラウドで2番目の企業というのは実は我々なのだ。しかも我々はプライベートクラウドではナンバー1だ。

 アマゾンと我々の戦略は違う。第一に、我々は日立(製作所)などのたくさんのパートナーとグローバルに、強固なパートナーシップを構築している(註:VMwareがグローバルな戦略提携をしているパートナーは11社、うち日本企業は2社)。VMwareとアマゾンが競合しているのではなく、「VMware+パートナー」対アマゾンの競争という構図だ。