また、これも個人差はあるが、最晩年の高齢期に親は、自分が認知症になるリスクを心配する必要がある。

 例えば、何の備えもないまま認知症が進行すると、取引金融機関に後見人を付けることを要請される場合がある。家庭裁判所に後見人の選任を申し立てると、しばしば弁護士や司法書士などの職業後見人を付けられる。子どもなどを後見人に推薦しても、認められない場合が多くあるのだ。

 すると、親の財産を使うことが不自由になるばかりではなく、毎月数万円の手数料が掛かることにもなる。

不都合が多い法定後見を
避けるための方法

 こうした事態(法定後見)を避ける方法は幾つかある。

 一つは、親の意思能力が健在なうちに財産管理等委任契約と共に必要が生じた場合に子ども等をあらかじめ後見人として定める任意後見契約を合体した契約書を発効させておく方法だ。多くの場合、任意後見には移行せずに子どもが親の代理を務め続ける。法定後見を避ける予防措置だ。他にも、家族信託の設定という方法があるが、いずれにあっても子ども等の信頼できるパートナーが必要だ。

 親の認知症対策を行うタイミングをきっかけに、子どもと親は、お互いの金融資産を「連結」させた状態を把握し合って、特に親の金融資産に関して、「2世代運用」に移行することが好ましい。

 親80歳、子ども50歳なら今が待ったなしの好機だろう。

 ついでに申し上げて置くと、リタイア後80歳に達するまでの「意思能力があってお金を持っている高齢者」は金融機関の格好の営業ターゲットだ。親が80歳になる前の時点であっても、親の金融資産がどこにあって、どのような状態にあるかを確認しておくことを、読者に「強く」お勧めする。