自己顕示欲を満たしたい?
タワマンが男性に人気な理由

 タワーマンションは男性は大好きだが、女性はさほどでもないようだ。タワーマンションは自己顕示欲の塊のようなもので、これ見よがしに自慢のネタになる。先日会った知り合いの社長は、聞いてもいないのに、「沖さん、今度○○タワーに引っ越すんですよ」などと言っていた。そのマンションは坪1000万円(100平方メートルで3億円)なので、威張りたいのだろう。

 私の知る限り、タワーマンションを住み替え続ける男性も多い。新しい話題のタワーマンションが出ると、今住んでいるマンションを売って、別の新しいタワーマンションに引っ越すのである。タワーマンションゆえに資産性があり、価格が下がりにくいものだから、引っ越しできることに味をしめているのである。これは無意識であれ、「男としてモテたい」行動の表れであり、遺伝子に従順なだけと見ることもできるのではないだろうか。

 例えば、渋谷区役所の敷地内に建つ「パークコート渋谷 ザ タワー」というタワーマンションがある。土地は渋谷区のものなので定期借地権だが、渋谷の高台に立つ地上39階のタワーは形状もかっこよく、周辺5km圏内ではランドマークとなっている。男性的には、「俺、あのマンションに住んでいるんだ」と指さすのは、独身なら持ってこいの口説き文句になる。でかいもの、目立つもの、「すごいだろ」といえるものは、男心をくすぐることになる。だからこそ、資産性も高い。

 渋谷はIT企業が集中する場所なので、その役員連中にとってみれば、いかにも分かりやすい自己顕示欲を満たすものに他ならない。だからこそ、高く売れ続けるのである。

 私の経験上、男性は総戸数の多い大規模マンションを好む傾向があるが、女性はマンションでもこぢんまりした低層の物件を好むことが多い。資産性は悪くても、戸建てを好む女性も少なくない。しかし、低層よりタワー、小規模より大規模のほうが、圧倒的に資産性はある。資産性があるとは、価格が下がりにくいということだ。だからこそ、買い替えると含み益を実現益にでき、資産形成ができるのである。

 別の言い方をすると、男性は数字になるものを信じる傾向にあり、女性は感覚に訴えるものを大切にするということになる。理性重視か、感性重視かと言い換えられるだろうか。

「資産性」の観点からいえば、地価のように数値化されるものが重要になってくる。どのマンションも建物の原価は大して変わらないが、土地の原価は雲泥の差があるからだ。