東証再編が誘発!上場廃止ラッシュ#10Photo:PIXTA

東証の新市場区分で最上位に位置付けられるのがプライム市場だ。最も高い株式の流動性やコーポレートガバナンス(企業統治)の水準を満たす1841社が上場予定だが、東証が言う「グローバル企業」の実力を本当に備えているのか。中には裏技ともいえる強引な手法で基準をクリアした企業もある。特集『東証再編が誘発!上場廃止ラッシュ』(全15回)の#10では、そんな「なんちゃってプライム」な企業を紹介する。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

高いガバナンス水準と成長の持続性…
プライム上場企業の真の実力は?

 多くの機関投資家の投資対象になり得る規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場――。

 これが今年4月の再編で、東京証券取引所が掲げるプライム市場の理念だ。その言葉通り、最上位市場のプライム上場企業は最も高い株式の流動性や収益性、コーポレートガバナンスといった「グローバル企業」としての資質が備わっていなければならない。

 だが本当にそうだろうかと、首をかしげたくなるプライム企業も散見される。

「上場基準をくぐり抜ける“裏技”を使った。そこまでやるか、という思いだ」。

 ある外資系運用会社の日本株担当がそう声を潜めるのが、誰もが知る自動車メーカーの系列会社についてである。