岸田政権が掲げる「新しい資本主義」は、従業員への分配を重視する。そこで特集『東証再編が誘発! 上場廃止ラッシュ』(全15回)の#13では、上場企業が株主への配当総額の半分をグループ従業員に分配した場合、どれくらい年収を上げられるかシミュレーションした。3位の任天堂は2011万円もアップできることが分かった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
214社が利益の80%以上を株主に分配
「年収が非上場化で上がる会社」を独自シミュレーション
上場企業がどれだけの利益を株主に分配しているのか。直近の実績値で配当性向(配当総額÷純利益)を計算したところ、純利益の80%以上を株主に配っている企業が214社に上った。
ローソン、三菱商事、エーザイ、出光興産、東京海上ホールディングス、キヤノン――。214社には、日本を代表するそうそうたる顔触れが並ぶ。これに加え、純損益が赤字なのに配当した企業も308社あった。
「成果の果実を従業員に分配する。賃上げが原動力となり、さらなる成長につながる」。岸田文雄首相は1月17日の施政方針演説の中で、こう強調した。
岸田政権が打ち出す「新しい資本主義」は、分配戦略の重視を掲げている。ただ、投資ファンドを筆頭に、株主への分配を増やすよう求める動きは依然強い。冒頭で述べたように、上場企業による果実の分配は、必ずしも政権の意向に沿ったものではない。
そこでダイヤモンド編集部は、企業が非上場化して株主への分配一辺倒ではなくなり、配当総額の半分をグループ従業員に配った場合の「年収上昇可能金額」を試算した。その結果、年収を200万円以上も上げられる企業が108社に上った。
非上場企業になれば、経営者も人目を気にせず、従業員が納得できる給料を支払うことができるようになる。上位から、実名を確認していこう。