日産自動車が米投資ファンドKKRに売却して上場廃止となった系列最大の部品メーカー、カルソニックカンセイ(現マレリ)が、2022年内に目指していた再上場を断念する方針を固めたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。特集『企業悶絶!インフレ襲来』(全13回)の#3では、マレリの“救世主”も頭を抱えた再上場断念の真相に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
マレリ首脳がお手上げ
「こんな状況で再上場は無理」
マレリは、自動車部品業界の「大型再編」によって誕生した世界トップ10に位置する独立系メーカーだ。
日産自動車系列最大の部品メーカー、カルソニックカンセイ(旧カルカン)を2017年に買収した米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が、19年に欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の自動車部品部門、マニエッティ・マレリを買収。その後、旧カルカンとの経営統合によって社名がマレリに統一された。
もともと旧カルカンは日産の元会長兼最高経営責任者(CEO)のカルロス・ゴーン氏による「系列解体」によって見切られ、“救世主”であるKKRに売却されて上場廃止となった経緯がある。
旧カルカン、マニエッティを買収したKKRは、マレリの企業価値をさらに上げて、22年には再上場を目指す「出口戦略」を描いていた。
ところが、である。マレリの首脳が「こんな状況では再上場なんて無理」と白旗を揚げたのだ。いったい、マレリ再上場のシナリオを崩したのは何か。
次ページからは、マレリが再上場を断念するに至った真相をつまびらかにする。そして、インフレ襲来によって、日産のサプライヤーが“突然死”する可能性についても明らかにしたい。