東証は再編の激変緩和措置として、プライム市場の基準を満たしていない1部上場企業に、当面はプライムに移行できる「経過措置」を設けた。296社がそれに該当するが、市場のプロは「その9割はプライムに残れない」「そもそも誰も注目していない」と手厳しい。特集『東証再編が誘発! 上場廃止ラッシュ』(全15回)の#12は、覆面座談会の後編をお届けする。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
和田義雄 運用会社勤務
三善康介 A証券会社勤務
梶原景生 B証券会社勤務
大江 広 個人投資家
猶予企業の基準到達は非現実的
東証再編は市場退出を促す「儀式」?
――プライム市場の基準を満たしておらず、経過措置を適用した企業が296社あります。経過措置期間中に本当に基準を満たすことができると思いますか。
大江 流通株式時価総額100億円に達するためには現状50億円の会社は少なくとも2倍、20億円だと5倍……難しいだろうね。
和田 非現実的。でも「できないでしょ」と言える人が社内外にいないのではないか。例えば1年後、全然株価が上がらなくても、そもそも市場の関心が低いので誰も文句を言わないのでは(笑)。
梶原 例えば流通時価総額が既に90億円台であれば、割と簡単に100億円に到達できる。流通株式比率が足りていない企業は、大株主に売ってもらうことになれば、あとは売却のタイミングだけ。そういう企業は3年以内で目標到達は可能だと思う。
ただ流通株式時価総額50億円以下の会社が「3年以内に到達する」などと言っている。これはかなり野心的。現状30億~40億円ではかなり厳しい。市場に誓ったことなので「本当にできるのか?」と聞いても、やりますとしか言わないけれど。
三善 ある種、市場退出の儀式のようなものではないかと思う。努力をして駄目なら諦めもつく。おそらく9割は基準に到達せず、上場廃止でしょう。