東証再編が誘発! 上場廃止ラッシュ#15Photo by Yoshihisa Wada

東京証券取引所の山道裕己社長がダイヤモンド編集部の取材に応じ、東証再編を機に上場廃止を伴うコーポレートアクション(企業活動)が今後増加するとの見方を示した。特集『東証再編が誘発! 上場廃止ラッシュ』(全15回)の最終回では、4月に控える新市場への移行を前に、山道社長に再編の狙いや今後の方針を聞いた。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

市場再編は始まりにすぎない
企業の価値向上を促し続ける

――東京証券取引所の再編で、いよいよ4月から新市場に移行します。投資家の反応はいかがでしょうか。

 海外投資家の皆が皆、日本の市場に詳しいわけではないので、「東証が一夜にして激変する」といった、ちょっと誤解されているコメントを頂くことはあります(笑)。

 これまで私が申し上げてきたのは、今回はスタートだということ。60年ぶりの市場区分見直しのスターティングポイントですから、これで(再編が)終わるわけではありません。

 今回1841社がプライム市場を選んだわけですが、そのうちの296社はプライムの基準に達しておらず、経過措置を利用した。一方、東証1部の344社がスタンダード市場を選択した。プライムの基準に達しているにもかかわらず、スタンダードを選んだ企業も23社ある。

 これは、おそらく各社の取締役会でもかんかんがくがくの議論をされた結果だと思う。われわれとしては、それを真摯に受け止めなければいけないし、プライムに残るという意思表示をし、改善計画書を出した会社には、株主やマーケットに対するコミットメントとして取り組んでいただきたい。

――ご指摘のように、東証1部上場の2185社の8割強に相当する1841社がプライム市場へ移行します。そもそも東証1部の企業数が多過ぎるということが、再編議論のきっかけだったと思いますが、プライムの企業数をより大胆に絞るべきだったのではないでしょうか。