東証再編が誘発!上場廃止ラッシュ#9Photo:PIXTA

新市場の基準の一つに「流通株式比率」がある。この必達目標を、市場での株式売却でクリアするのに何日かかるか。特集『東証再編が誘発! 上場廃止ラッシュ』(全15回)の#9では、この日数を独自に計算しランキングを作成した。驚くことに有名予備校やマンション管理大手など上位5社は、10年間毎日売り続けても目標に届かないことが分かった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

流通株式比率の基準到達は「絶対無理」
該当企業を暴く独自ランキングを作成

「実は、市場で流通する株式の比率(流通株式比率)を、上場維持基準まで引き上げられそうにない企業が結構ある。引き上げなければならない比率が大きくて、市場でほとんど売買されていない株だと、まず無理だね」

 昨年暮れに大手証券会社の幹部から聞いたヒントを基に、ダイヤモンド編集部は今回、流通比率データを基に「株式売却にかかる日数長すぎ」企業ランキングを作成した。

 流通比率は、一定期限内に達成しなければ上場廃止になる基準の一つだ。10%以上保有する主要株主や企業同士の持ち合い株式などを除いて計算する。

 市場区分によって基準が異なり、プライムは35%以上、スタンダードとグロースは25%以上となっている。

 最も達成が難しい「流通株式時価総額」をクリアするため、流通比率を、上場基準をはるかに上回る、例えば「70%まで引き上げる」と、基準到達に向けた計画書(改善計画書)に書き込んだ企業も複数ある。

 流通時価総額は、時価総額(=株価×発行済み株式数)×流通比率なので、株価が一定であれば、流通比率を上げて上場基準の金額に近づくことができる。

 そこでダイヤモンド編集部は、改善計画書に記された流通比率の目標値から、東京証券取引所の移行基準日である2021年6月30日時点の比率を引き、「売らなければならない株式数」を計算。この株式数を1日当たり平均売買高で割り算し、市場での売却で流通比率目標を達成するのに何日かかるかをシミュレーションした。

 その結果、驚くことに10年間毎日売っても目標未達の企業が5社あった。3年以上かかるのは12社だ。上位から順に、こうした企業の実名を確認していこう。