内部留保の増加が
株価の上昇要因になる

 企業の利益は株主のものであり、配当されなかった内部留保も最終的には会社が解散するときに株主のものとなる。しかし、株主としては、それまで待つのではなく、株価上昇という形で利益を手にすることができる。それは、内部留保の分だけ株価が上がる場合が多いからだ。

 PBRが1倍だとすれば、内部留保分だけ株価が上昇するはずだ。それ以外の要因を考えても、PBRが一定だとすれば、内部留保の増加は1株当たり純資産を増加させるため、「PBRから考えた妥当な株価水準」が上昇することになる。

 別の考え方もある。内部留保された資金で工場を建てるとすれば、将来の利益が増えると期待されるため、それを見越して株を買うことが合理的だ、と考えられるのだ。

PBRが1倍を上回る部分は
「見えない資産」の価値

 企業は、工場設備などのほかに、さまざまなノウハウや知名度、顧客リストなどを活用して利益を稼いでいる。ノウハウなどは財務諸表には載っていないが株価には反映されるので、その分は見えない資産の価値だと考えることもできる。

 同じだけ設備を持っている企業であっても、ノウハウが多い企業のほうが、少ない企業より株価が高いのは自然なことだが、これについては別の説明方法も可能である。