GAFAMや中国のBATのように、「プラットフォーム」を運営するIT企業が世界で大きな存在感を示している。ただ、さまざまな領域でプラットフォームが乱立する昨今、プラットフォーマーとして成功し続けることは容易ではない。盛者必衰のIT業界で生き残るプラットフォーマーの条件とは何か。『プラットフォーム戦略』の筆者が事例を踏まえて解説する。(ネットストラテジー代表取締役 平野敦士カール)
衰退するプラットフォーム
生き残るプラットフォーム、その違いは?
米国のGAFAMと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック(現在はメタに社名変更)、アマゾン、マイクロソフトや、中国のBAT(百度〈バイドゥ〉、阿里巴巴〈アリババグループ〉、騰訊〈テンセント〉)などは、現在の世界の時価総額ランキングで上位に入ってくる企業だ。これらの企業の共通点は、プラットフォームを運営していることである。
筆者は10年以上前に上梓した拙著『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)において、プラットフォームを構築するための9つのステップを紹介したが、その1番目は「そのプラットフォームの存在価値はあるのか」だ。
結論から言えば、存在価値がない、またその価値に見合わない価格設定を行った企業は長期的には衰退していく。存在価値に見合わない価格だと顧客が判断した場合は、顧客がプラットフォームを利用しなくて済む(あるいは料金を支払わなくて済む)「抜け道」を探し始める可能性もある。
今回は、そうした抜け道を探す動機を与えてしまうプラットフォームとそうでないプラットフォームの違いを解説するとともに、プラットフォームが勝ち残る上での重要課題について、事例を踏まえて考察していく。